監督日記

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2020年12月12日 12時16分 親孝行のお話

先日のカントク日記で僕が子供をあまり褒めないという話をしましたが、その中で
「生まれてきてくれてありがとう」
という言葉が出て来ました。
今回はそんなちょっとした言葉の続きを短いお話で。

ある日妻とおしゃべりをしていた時のことです。
長女の子育て(我々から見たら孫です)のこと、長男の仕事のこと、次女の就職のこと、色々話をしていました。子供たちに対しては色々注文もあるのですが、基本的に子供のやることは何でも許せちゃうよねという話になりました。小さい頃からずっと見てるから我が子はいくつになっても可愛いのだと。
そしたら妻が

「親孝行は三歳までで終わってるんだってさ」

と言うのです。
つまり、生まれた子供は三歳までの無邪気で愛くるしい時期に親孝行をすでに完了しているのだということです。

なるほどねーと思いました。
親からもたっぷりの愛情を注ぐ代わりに、親も子供からこのうえない幸せな時間をたっぷりもらっているのですね。
自我も目覚め、段々と生意気になっていく子供を見ながら、時々あの頃を思い出してみてはいかがですか?
というお話でした。

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2020年12月04日 22時28分 褒めないのには理由があるのです。

ある日の練習中でのこと。
練習の補助に入っている父兄が子供たちに声を掛けています。
「ナイスバッティング!」
「いいねぇー!」
野球の練習の中で声出しは大事です。きつい練習や出来ないことへのチャレンジの際には欠かせない、環境づくりの大切な要素です。それも前向きな言葉。いいところを見つけて褒めてあげる。大事なことです。
そんな声を聞きながらふと思いました。子供たちは
「ウチのカントクは褒めない」
ってことに気づいているのかな?と。

僕は選手を滅多に褒めません。
理由は色々あるのですが、まぁ褒めません。
「褒めて伸ばせ」
とは言いますが、「伸ばせ」って何様目線なんだろうとも思ったりしてしまいます。伸びるのは選手本人なので、監督やコーチが引っ張り上げて伸ばしてあげるものでもないと思うのです。
だいたい子供を褒めようと思ったらいくらでも褒めることは出来ます。そもそも生まれて来てくれてありがとうレベルの存在ですからね。でも全ての良い部分を褒めるのは無理があります。目の届かないこともあります。
そんな時に、ちゃんとできたのに何でカントク褒めてくれないの?見てくれていないの?となっても困ります。
それとは反対に目標とするプレーが出来てもいないのにたまたま捕れたとか、たまたま打球が飛んでったとか、そんなことでおだてることもしたくないのです。何でか?おだては自惚れにつながりかねないからです。

で、まぁそれでもちょっと心配になったので子供たちにカントクが褒めない理由を少しだけ話しました。
こういうことです。例えば結果が悪くても取り組みが良い時は「それでいいよ」と言うし、たまたまうまくいっただけの時は「ちょっと違うよ」と声を掛けるようにしているから、
「カントクが何も言わない時は大丈夫だと思えばいいからな」と。
だから投げたボールが思ったところに行ったとか、打ったボールが遠くへ飛んで行ったとか、うまくいった時にカントクが褒めなくても
「よし、これでいいんだ」
と自分で感じなさいよ、と。
自己肯定感ですね。

自己肯定感を育むためには子供のすべてを受け入れることが大切と言われています。その際、結果でその取り組みの良否を判断しない事が大事とも言われています。
ですからエラーしてもアウトになっても、良い取り組みには「それでいいんだよ」と声を掛けてあげたいのです。
結果から判断しにくい良かった点などを見極めるのが我々指導者の仕事だと思っています。ただ、その時に今のはたまたまだなぁ、という時には指摘をさせてもらいます。嫌な役だなぁとも思いますが、子供とは言え選手ですから、そこは客観的に見るべきだと思っていますので。
その分ご父兄におかれては存分に褒めて頂きたいと思います。やたらおだてて褒め言葉の安売りにならないよう、課題に対して出来ているかの見極めが我々の役目と役割ということでご理解いただければと思います。

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2020年09月28日 22時18分 対戦は一緒に試合を作り上げるという事

先日は焼津で練習試合を組んで頂きました。
三つ巴戦の1試合目は本日のホームチームとの対戦、初顔合わせですが実はこのグラウンドのすぐそばに仕事上の大得意さんの会社があって、平日練習の風景をよく目にしていたので一方的に親しみを感じているチームでした。

練習風景は遠目に拝見していましたが対戦は初めてですから、どんなチームか興味津々です。

試合前のシートノックで目についたのはピッチャーの子。ユニフォームがセカンダリーなので背番号で判断できませんが、恐らく主戦投手と思われます。センスがよいのはすぐ分かったのですが動きが緩慢に見えましたので、1番2番打者にセフティバントで揺さぶるように指示を出しました。
そして反応を見たのですが、見事に裏切られました。動きが緩慢に見えたのは単に落ち着いているからであって、打者の動きに対する反応やスピードはとてもレベルの高いものでした。
打者を見て投球に緩急を付けたりと野球をよく理解して考えて投げているなぁと感心しましたし、またそういった対応が嫌味じゃないので試合がとても楽しく進みました。相手によって対応を変えるのが、相手をなめているのでなく、しっかり考えているようでこちらも気持ちが良いのです。

試合の方は相手投手の3種類の球速のうち、たまたま半速球にタイミングのあったウチの打球が外野の頭を超えて得点することが出来、ウチのピッチャーもいつになくまとまっていたため2対2の引き分けに終わりました。
ちなみにスリーボールスリーボール!と待球する事なく両チームが積極的にバットを振れば7イニング戦って1時間半でゲームが完了するというお手本のようなゲームでした。

試合後に監督さんと話しをしましたところ、やはりピッチャーの子はいわゆる野球小僧で野球をよく知っているとの事。ただ気が強いのか熱くなって崩れることもあるようで、今日は崩れずに最後までいいピッチングをしてくれて本当に良かったと思います。

あとはキャッチャーの子がもう少しキャッチング、フィールディングが良ければと思ったものですから、監督さんの了承を得て3試合目の準備のためにブルペンに入ったバッテリーにキャッチングの指導など始めてしまいました。いつもの悪い癖ですw
先ほどのピッチャーの子はキャッチャーもやるようで、私のワンポイントのアドバイスをしっかり聞いてくれました。最初に話しかけた時には何だこのおっさんは?みたいな顔をしていましたが、技術的な話しを始めたら途端に食い入るように聞き始めたあたり、やっぱり野球が好きなんだなぁと感じました。
次の試合を見たら先程アドバイスした動きがもう出来ていたので、さすがと思いました。

ウチの子たちにもこのくらいすーっと指導が染み渡るようにするには、一方通行でお仕着せの指導ではなく、子供たちが野球を吸収できる状態をまず作らなければと、今一度指導の前段階の環境づくり動機づけを考えなければと思った1日でした。

いい選手、いいチームさんとは対戦はもちろんですが一緒に野球を楽しみたいと思っていますので、いつか合同練習をしましょうとお願いをして帰路につきました。

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